慰謝料請求のご相談を考えているあなたへ

 不法行為により精神的苦痛を受けた場合、民法709条・710条に基づき、損害賠償として慰謝料を請求することができます。

 慰謝料は、財産分与とは異なり、お金の持ち合わせがないから払えないでは済みません。一括で払えない場合は、分割払いにします。慰謝料の金額を決めるとき、相手の支払能力を無視することはできませんが、「いくら払えるか」よりは「どれほどの損害を受けたか」の方が重要な要因です。

 「慰謝料」という文言自体を嫌う人もいます。「請求どおり支払うけれど、名目は慰謝料とはしたくない」と。「自分が悪い」とは明記したくないという意図です。名を捨てて実を取るなら「解決金」等の名目にします。


1. 配偶者に対して慰謝料を請求する

 配偶者に対して慰謝料を請求するケースで最も多いのは、不貞行為が原因の離婚です。その他、暴力や、生活費と関係のない借金など、はっきり一方に離婚の原因があると明白な場合は、慰謝料の請求ができます。

 離婚時に夫または妻に慰謝料を請求する場合は、まず財産分与をして、双方の取り分を確定し、その中から慰謝料を支払ってもらいます。うっかりすると、先に慰謝料を払って、残りを財産分与する人がいます。慰謝料の半分を自分で払っているのと同じことになります。(慰謝料の割り勘?)

 財産分与と慰謝料を明確に分けない場合もあります。どちらも夫婦間の清算ですから、まとめても問題はありません。ただし、請求権があるのは、財産分与は離婚から2年、慰謝料は知ったときから3年と、期限に差があります。

 不貞行為や暴力などのはっきりした理由がなくても、自分の受けた被害を主張して慰謝料を請求するケースがあります。本人にとって深刻な問題なのは間違いないのですが、うまくいってない場合は、相手方も相応のストレスを感じてますので、結果的に相殺されることも多いです。

 最近ではモラハラも離婚原因になりますが、たいていは、当人には自覚がないため、認めたがりません。客観的に立証するのは、なかなか難しいです。

2. 不倫の相手方に対して慰謝料を請求する

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 配偶者の不貞行為の相手方に対し、慰謝料を請求することができます。離婚に至った場合も、離婚に至らず結果的に関係修復できた場合も請求できます。金額は、当然のことながら、離婚に至った場合の方が高額です。

 離婚に至らなかったケースでは、別居が長く続いたりして生活面や経済面でかなりの損害を受ける場合もあれば、それほど深刻な状態にまでならずに済む場合もあります。状況により請求額も違ってきます。

 不貞行為の相手方に慰謝料を請求するには、内容証明を送るのが一般的です。その際、名誉棄損等で逆に訴えられないように、明白な証拠があるか、相手方が認めているか、事実確認が重要になります。内容証明を送ると、通常は何らかの反応がありますので、反応をみて、次のステップに進みます。

3. 相手が慰謝料請求に応じたとき

 相手が慰謝料の支払い請求に応じる旨の返答を寄越したら、金額を確定し、支払方法を決めて、通常は和解書を作成します。離婚まで至ると、金額も数百万円単位になるので、一括で支払うのは困難な場合が多いです。長期の分割払いになるときは、公正証書の作成も検討します。ただし、相手方の合意が必要です。

 一括払いであっても、和解書を作成しましょう。金融機関に振り込んでもらえば入金確認はできますし、証拠としてはそれで十分ですが、何の名目で支払ったのかが明白でないと、トラブルの元になります。

4. 相手が慰謝料請求に応じないとき

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 実際に、応じないケースには次の4通りがあります。

1)返答をしない(無視)。
2)返答はあるが、事実を認めない(拒否)。
3)事実は認めるが、金額に納得がいかない。
4)金額の妥当性は認めるものの、支払い能力がない。


 1)と2)の場合は、証拠をそろえて裁判をします。
 3)と4)の場合は、事実を認めている以上、支払わないとは言わず、減額の申し入れをされます。
その後は交渉次第ですが、減額や分割払い等の妥協を余儀なくされることは少なくありません。

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