財産分与のご相談を考えているあなたへ

 離婚にあたって様々な夫婦間の清算をしますが、財産分与は非常に大切です。 分与の対象となる財産は、預貯金、不動産、保険や有価証券、自動車などです。原則は半分に分けます。(2分の1ルール)合意があれば半分でなくてもOKです。

 妻の収入が少ない場合は、離婚後の経済格差が大きいので、妻に多くを渡す離婚もよく見られます。
子供を母親が引き取る場合は尚更です。ただし、そうならないことも少なくありません。離婚の原因にもよっても違ってきます。

 家財道具については、細かく取り決めて公正証書に記載する人もいますが、契約書には載せずに暗黙の了解で分ける人が多いです。家具や電化製品を置いていく代わりといって現金を請求されることがありますが、家財道具は、売却してもそれほどのお金は得られません。しかし、新規に買い整えるにはかなりのお金がかかります。そのあたりで揉めることもあります。


 財産分与で大事なのは、分与の対象としてどんな財産があるのかを双方が正しく知ることです。
「相手がどれくらいの財産を持ってるのか全くわからない」という夫婦は、実はそんなに珍しくありません。秘密の預貯金があったり、相手の財産を過大評価していたり、いろんなケースがあるんです。



1. 離婚前に財産分与について決める

 離婚するときには、できるだけ離婚届出の前に、財産分与の取り決めを行ってください。 財産分与請求権は、離婚してから2年が経過すると権利が消滅します。離婚届出前に、養育費等と一緒に財産分与について協議し、離婚公正証書を作ってから離婚届を出すのがベストです。

 直接協議できない場合は、内容証明で通知を出します。

 現金一括払いや、離婚前に不動産の登記を済ませるなど、離婚前、あるいは、離婚直後に財産分与が完了する場合は、公正証書にはしなくても、分与した財産の内容と清算が完了した旨を文書にしてから離婚届を出しましょう。


2. 離婚後に財産分与の請求をする

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 離婚した後でも、未分与の財産がある場合は、分与請求ができます。 ただし、2年間という制限がありますので、悠長なことはしていられません。すぐに行動してください。

 離婚前に財産分与に関する取り決めをしていないときは、相手はあまり真摯に対応してくれないと覚悟しなければなりません。その気があれば、離婚前に公正証書か離婚協議書を作っているはずなのです。

 離婚後に財産分与を請求するには、まず、財産目録の作成が必要です。(離婚後では、相手名義の財産の洗い出しはかなり困難です。)相手の所在を確認し、内容証明で財産分与請求の通知を送ります。拒否されたり、応答がない場合は、時間の猶予はないので、すぐに調停に向けて弁護士に相談してください。

3. 扶養的財産分与

 財産分与の第一義は、結婚している間に2人で築いた財産を清算することです。

「俺が稼いだ俺の金だ」と主張する人が今でもまだいますが、大間違いで、原則的には2人で協力して稼いだものとみなされます。

 問題は、分けるべき財産がない場合はどうなるかです。2人ともそれなりに収入があり、少なくとも自活に困らない程度であれば、分けるものがなければそれで終了です。しかし、経済力のない人は、当面は一人で生きていけません。そういう場合、状況に応じて、元配偶者が生活保障をすることがあります。それが、「扶養的財産分与」です。

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 分ける財産がないのですから、一括で支払うことはまれで、一定期間(状況によってはずっと)定期的に生活費を補助します。専業主婦だった人でも、若い人は仕事も見つけやすく、自分で働いてくださいというスタンスなので、扶養的財産分与を受けるのは、中高年が中心です。

4. 所有不動産にローン残債がある場合

 ローンの残債のある不動産の処分は厄介です。

  • 不動産を売却して住宅ローンを完済し、売却益を分ける。(マイナスの場合は負債を分ける。) 
  • ローンの支払い義務者がそのまま不動産を所有し、自分で居住する。
  • ローンの支払い義務者がローンの支払いを継続するが、相手方に無償で住むことを認める。
  • ローンの支払い義務者がローンの支払いを継続するが、財産分与として、所有権はいずれ相手方に移転する。
  • ローンの借り手を変更し、所有権を相手方に移転する。
  • 共有の場合は、持分を移転する。

 ケースによっていろいろで、金融機関との話し合いが重要になります。

 元夫にローンを払ってもらいながら、元妻が居住する場合、ローンをきちんと払ってもらえるような防御策も考えなければなりません。

 最近は、夫婦の収入が拮抗していて、いずれも一人ではローンを背負いきれないケースもあります。そういう場合は売却になりますが、こういうケースほど買ったばかりで残債が多く、売ってもローンを返しきれない危険性もあります。

5. 保険の契約者変更

 子供を死亡時受取人にした保険の契約者を父から母に変えて継続するやり方です。
契約者を変更したら、それ以後の保険料は母が払うのですが、それまで支払ってきた蓄積分を生かせるので、新規に加入するよりずっと得です。

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 保険は、途中で解約したら目減りが大きいので、注意が必要です。



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