ちょっと便利な豆知識

知ってると得するかもしれないちょっとしたことです。 参考になることもあるかと…。

1. 浮気調査と探偵

たとえば慰謝料の請求をするとき、相手方があっさり認めれば問題ありませんが、
証拠を突きつけないと、そう簡単には認めないことも多々あります。

それで、探偵に調査を依頼する人が結構たくさんいらっしゃるんですが、その費用は
かなり高額です。数十万円から、場合によっては数百万円もかかります。

気をつけなくてはいけないのは、費用対効果です。高額な慰謝料をあてにできる場合は、
数百万円かけても、完璧な証拠を押さえてもらえば、十分元が取れます。

しかし、慰謝料の金額は、請求する側が考えるよりも低くなる場合が非常に多いです。
200万円かけて調査しても100万円しか取れなければ、支払い超過になります。
「相手が無傷でいるのが許せないから、損してでもいくらかは取りたい。」という考え方もあります。でも、被害者が支払い超過になるなんて、割に合わないじゃありませんか。

浮気発覚後は相手も慎重になりますから、証拠を押さえるのが難しくなります。
数百万円かけて万全の体制で調査してもらっても、何も出ないこともあり得ます。

とにかく、探偵を頼むときは、慎重によく考えて、見積もりをとってから決めましょう。

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2. 離婚協議書と公正証書(1)

「離婚するときは、口約束ではなく離婚協議書を作りましょう。できれば公正証書に。」と、いろんなところに書いてあります。私もそのように推奨しています。

公正証書は、金銭債権については大きな威力を発揮します。でも、離婚協議書には、財産のことだけではなく、誓約事項などを記載することもあります。

これは、公正証書にしたからといってその効力が増すような性質のものではありません。
「誠実に対応すること。」などの契約がきちんと履行されているかどうかの判断は、
主観的要素が強いので、法的にどうこうすることはできないのです。

そんな場合は、金銭の支払いなど、法的拘束力を求める条項は公正証書にし、精神的な誓約事項などは、自分たちで合意書を交わすなど、使い分けがあってもいいかと思います。

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3. 内容証明郵便、どこから出す?

内容証明郵便に関する「ものの本」やホームページを見ると、「東京高等裁判所内郵便局から出すと効果的ですよ。」と書いてあります。東京高等裁判所内郵便局には、内容証明専用の窓口があるので、ここから差し出す人は実際多いのでしょう。

郵政民営化前は、手紙の末尾の余白に「東京高等裁判所内郵便局長」という、目立つ判が押されていましたから、それなりの効果は確かにあったと思います。

でも、郵政民営化後は、「日本郵便株式会社」の大きな判が押されて、郵便局名は、日付印の中にあるだけになりました。

これは個人的な意見ですが、こうなると、わざわざ霞が関の裁判所まで出向いて「東京高等裁判所内郵便局」から出すメリットは、ないか、非常に小さくなってしまったのではないかと思います。

それでもやっぱり、裁判所内郵便局から出したいなら、それもいいですけど。
   
因みに、この郵便局は、裁判所内郵便局であって、裁判所ではありません。あくまで郵便局です。

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4. 年金分割の合意書は、どうするのがいい?

年金分割の制度ができたときは、合意書の作成は、公証役場のお世話にならなければ
なりませんでした。でも、今は、自分たちで書いた合意書で年金分割の手続ができます。

ただし、条件があって、改定請求手続には、必ず双方がそろって(代理人でも可)出向かなければなりません。請求の手続は離婚日が確定したのち、つまり離婚届出後に行いますから、ほとんどのケースで、当事者2人は既に別々に暮らしています。

そのため、故意か偶然か、なかなかスケジュール調整ができず、いつの間にか請求期限が過ぎていたなんてことにもなりかねないのです。

年金分割の合意契約を公正証書にする場合は、離婚届出の前に合意書を作成でき、離婚後に、どちらか一方が合意書をもっていけば改定請求の手続きをすることができます。

年金分割の合意を公正証書にすると、(11,000円+用紙代)が余計にかかりますが、ここは、少しお金がかかっても、離婚届出の前に、公正証書にするのが安全であるように思います。

婚姻期間が短い人や、夫婦とも厚生年金/共済年金に加入している人はまだしも、長年専業主婦だった人が熟年離婚する場合は、年金分割は老後の死活問題ですから、十分に注意してください。

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5. 養育費を一括で支払うのは、あり?

養育費は、本来は給付金なので、事前に総額いくらと決めるものではありません。ここが
慰謝料などと違うところです。同じように毎月払っている場合でも、給付金である養育費は、「月々いくら」が基本で、状況の変化に伴って金額の変更もあります。

これに対し、弁済金である慰謝料等は、「総額いくら」と決まっているものを何回の分割にする、だから1回あたりの支払いはいくら、と決めて支払っているのです。

離婚するときに、養育費を一括で払う人もいます。金額は、大体、月々いくらで何年間と計算して決めます。一括で払う分、総額で考えると多少少なめになったりもします。

問題は、本来給付金であるはずの養育費を一括で支払ってしまった場合、その後状況が変わった場合にはどう対応すればいいのか、ということです。

極端な話では、一括で養育費を支払って間もなくして、肝心のお子さんに万一のことがあったとか、あるいは、養育費支払の義務者の経済状況が悪化して、当初の予定ほど養育費を払うことが無理な状況になったとか、そういう事態が発生した場合、支払い済の養育費を返還する/しないで揉めることも予想されます。

そんなトラブルにならないよう、一括で支払うのなら、あらかじめ想定される事態が発生したときの条件を決めておくか、あるいは、何か起きても返還要求はしない などの取り決めを明記しておきましょう。

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6. 年金分割手続と情報通知書

年金分割の合意書を公正証書にしようとすると、「情報通知書」の提示を求められます。
(公証役場によって、按分割合が0.5の場合は提示不要のところもあります。)
この「情報通知書」は、年金事務所等で手続きすると、郵送されます。

だから、年金分割をしようと思ったら、すぐに「情報通知書」を請求してください。
これが煩わしければ、按分割合が0.5であれば、「情報通知書」の提示を求めない公証役場に作成を嘱託するか、あるいは、自分たちで合意書を作って年金分割請求をすることです。

どちらが第一号改定者になるのか微妙なケースでは、かならず「情報通知書」を取得して内容を確認してから年金分割をしてください。

それにしても、離婚後に「情報通知書」を取得したのなら正確な「按分割合できる範囲」が算出できますが、離婚前に算出したものを提示する場合は、離婚までの間に数値が若干変わりますから、離婚前のもので判断するのは疑問を感じます。

合意書作成時では範囲内の案文割合であっても、離婚後には範囲外になることだって、レアケースとはいっても、あり得ることですから。

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7. 離婚協議書と公正証書(2) 

「精神的な誓約事項などは公正証書に入れなくても」と前に書きました。
金銭債権についても、これが当てはまることがあります。

公正証書を債務名義にして確実に強制執行ができるのは、金額と支払い期日が明記されているものです。実費の清算等は、契約としてはもちろん有効ですが、公正証書をもって強制執行はできません。

金銭債務を公正証書にする場合は、金額を明記する、それができないものは、合意書に留めるのもひとつの方法です。 

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8. 実印と印鑑証明

「夫の実印を妻が管理している」というご夫婦が少なからずいらっしゃいます。
ご夫婦の間がうまくいっている間は表立った問題は発生しません。

しかし、離婚を考えるような状況になってきたら話は別です。
実印と印鑑証明があれば、本人不在で契約を交わされることもあり得ます。
夫婦の場合は、性別が異なるのでなり済ましはほとんど不可能ですが、第三者に代役を頼む可能性もないとは言えません。(これは犯罪です)

印鑑登録は、住所地の役所で印影を登録し、転出したら廃印になります。
実印を自分の手に取り戻す手っ取り早い方法は、転出・転居先で改めて印鑑登録をすることです。

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9. デッドロック状態解消に公正証書

離婚協議において、離婚の合意もあり条件も折り合いがついているのに最後の最後でもめているケースがあります。多くは、言わば「デッドロック状態」になっている場合です。

一方は、「離婚届に判を押してくれたら慰謝料等を即支払う」と主張し、他方は、「払ってくれたことが確認できたら判を押す。」と主張します。

それぞれ、相手に不信感を抱き、お金だけ取って離婚届を出さないのではないか、あるいは、離婚したらそのまま知らんぷりで、払ってくれないのではないか、そのような心配が頭をよぎるのも無理からぬことです。

それを解決する手段のひとつが公正証書です。

お金を一括で即支払う用意があるときは、敢えて公正証書にしなくてもいいかと考えますが、上記のようなデッドロック状態になっている場合は、「離婚届出をしたら○日以内に金○○円を支払う」という公正証書を作れば届出後に支払いがなければ強制執行ができるし、離婚届出をするまでは支払い義務がありません。

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10.ネットで拾った離婚協議書サンプル

インターネットで「離婚協議書」を検索すると、サンプルがたくさん出てきます。それを自分なりにアレンジしてお持ちになる依頼人がよくいらっしゃいます。

もちろん、自分たちで合意書を作っても何も問題はありません。わざわざお金を払わなくても、法的に有効な契約書を作れます。

でも、注意すべきことがあります。サンプルは、わざとそうしているのか、金額の取り決めについては非常にざっくりした書き方をしています。 養育費の金額が3人まとめてになっていたり、支払の終期が決まってなかったり、婚姻費用の金額が明記されてなくて、「生活に必要な金額」なんて書いてあったり…。

これでは、契約を約束どおりに履行しているのかどうか、当人同士も第三者も判断できません。ネットで拾ったサンプルをそのまま契約書として使う前に、然るべき人にチェックしてもらうと安全です。

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11.公証役場の運営方法はそれぞれに異なる

公証役場の運営方法は、それぞれに個性があります。初回の相談にしても、普通は必ず予約が要りますが、公証人が何人もいるような公証役場では、予約不要のところもあります。

代理締結をするときに、委任状を自分で一から用意しなければならないところもあれば、委任状の用紙を公証役場で用意してくれて、委任者はそこに署名押印するだけのところもあったります。

意外に思われるでしょうが、公証人によって解釈がことなる事柄も少なからずあります。たとえば、養育費の振込先の口座は子供名義か母親名義かの問題とか、双方代理の適用範囲の解釈とか…。

一般の人は、そう頻繁にあっちやこっちの公証役場にお世話になることもないと思いますが、結構、いろいろと違いがあるもんですよ。

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12.離婚するときに気にしてほしい、子供に対する相続財産

離婚して親権者にならなかったとしても、親子の関係は切れることはありません。親子であれば相続権があります。

父が再婚して更に子が生まれたとき、先妻の子も後妻の子も相続人として同等の権利があります。でも、後妻の子は、母が父から相続した財産についても将来相続する権利があります。

だから、もし、2度の結婚でそれぞれに一人ずつ子供がいたとすると、父の財産を、結果的に、先妻の子は4分の1、後妻の子は4分の3の割合で相続するに等しくなることが多々あります。

こうなることを避けるために、それなりの財産をお持ちの方は、離婚時に相応の財産分与をしておくか、先妻の子が不利にならないような遺言を書くか、そういう配慮が必要かと思います。

先妻の子に多額の保険金が渡るようにしたところ、父の死亡時に他に財産がなくて、後妻の子は何もなしなんてことになる恐れもあるから、難しいんですけどね。

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13.公正証書作成後も、公証役場は用済みではない。

公正証書を締結して、執行力のある公正証書正本を手にします。

でも、これで公証役場には用済みというわけではありません。相手方が順調に支払いをしてくれれば何も問題はありません。 しかし、そうはいかないケースも多々あります。そのときは、公正証書の執行力を発揮させるべく、強制執行に踏み切ることもできます。

強制執行をするには、裁判所に行く前に、公証役場で謄本の送達と執行文の付与をしてもらう必要があります。 この公証役場での手続きは、公正証書を作成した公証役場でしかできません。

あまりにも遠方の公証役場で公正証書を作成すると、こういうとき、かなり不便です。 ネットで全国対応の公正証書作成サポートを利用して、債務者の居所からかなり離れた公証役場で代理締結の公正証書を作成するときは、注意してくださいね。 もっとも、公正証書作成後に遠方に引っ越すなど、どうしようもないこともありますよね。

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14.財産分与の2分の1ルールは平等か?

離婚するときに、婚姻中に築いた財産を清算してそれぞれに分けます。これを財産分与といいます。

現在では、法律で明文化はないものの、ほぼ2分の1ルールが定着してきています。相続財産や結婚前からもっていた財産は別として、結婚後に得た財産は、夫婦の協力で得られたものという考え方です。

でも、専業主婦家庭の場合、2分の1に分けるという、一見平等なこのルール、結構不平等です。一生働かなくても生活できるほどの財産分与を受ける人なんて、一般にはほとんどいません。

外で働いてお金を稼ぐことを担当してきた夫は、離婚してもまた稼げばいいだけのことですが、自分で稼ぐすべのない妻の将来は、経済的にかなり厳しいものになります。

働いていた者とそうでない者という認識ではなく、お金をもらえる仕事を担当していた者とお金をもらえない仕事を担当していた者という認識、離婚協議では、そういう観点も必要かと思います。

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15.内容証明の書式

内容証明郵便は、1行の文字数、1ページの行数が決められています。その文字数、行数を守れば、文字の大きさなどの決まりはありません。 電子内容証明(e-内容証明)であれば、郵便局まで行く必要はなく、在宅で内容証明を送ることができます。

ところが、実際に依頼人に書式を選んでもらうとき、電子内容証明を希望される方はあまりいません。e内容証明の封筒と中の書面は、とても事務的というか無機質で、インパクトに欠けるんです。

内容証明郵便に求められるものは、第一には、AさんからBさんへ、いつ、どんな内容の通知をしたかを公的に証明してもらう機能なんですが、離婚関連でいうと、それ以上に、インパクトを求める依頼人が多いです。

かつて、高等裁判所内の郵便局から出すことが多かったのもその理由からです。どういう書式になさいますかと、サンプルをお見せすると、赤枠付きのものを希望される方が多いですね。内容証明は、通知内容を証明してもらえる機能と同じくらい、インパクトが大切なんですね。

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16.養育費と扶養費

未成熟の子がいる場合、離婚時に養育費の取り決めを行うことが常識になってきました。

いろいろな事情から、養育費は請求しないという契約を父母の間で交わすことがあります。その場合、養育費の請求は難しくなりますが、この契約により、お子さんが一方の親の生活レベルと随分と格差のある生活に甘んじているとしたら、これはちょっとおかしいですよね。

夫婦が離婚しても、親子の生活保持義務は変わりません(他の人の養子になった場合はまた話が別ですが)。親同士の契約のせいで、本来子供自身が受けられるはずだった利益を受けられない場合、何か方法はあるのでしょうか。

ここで扶養費の請求の話が出てきます。離れて暮らす親が養育費を払ってくれていないとき、未成熟の子は、自らその親に対して「扶養費」の支払いを請求することができます。

子供を養育するためのお金が養育費、「私を養って」と請求するお金が扶養費です。

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