離婚と年金
離婚した夫婦は、老後の年金受給額に大きな格差があるケースが多く見られ、かねてから問題になっていました。家庭における無償の労働を妻が担うことが多いため、離婚した女性の年金は、婚姻期間中の貢献度が全く反映されない状態になっていたのです。
この問題を解決することを主たる目的として、2007年4月に「離婚時の年金分割」の制度が導入され、離婚した場合、手続きをすれば、配偶者の年金を分割して支給してもらえるようになりました。
でも、ちょっと待ってください。この制度ができたから、夫の年金の丸々半分をもらえるようになったと錯覚してはいませんか。分割の対象となるのは、第2号被保険者、つまり、会社員や公務員のような勤め人の報酬比例部分だけ、しかも、婚姻期間中のものに限られます。
また、夫から妻にと限ったことではありません。妻も婚姻期間中に厚生年金に加入していれば、その分は、夫の分と合算されて分割されることになるのです。分割の額も、最大半分ではありますが、合意または裁判で決まった額が支給されるのです。ご自分の場合の計算をしてみてください。
期待していたより少ないのではないでしょうか。
2008年5月からは、いわゆる3号分割の制度が開始されました。これで、2008年5月以降の3号であった期間については、相手の合意がなくても0.5の割合で分割できるようになりました。
「全婚姻期間について自動的に半分」ではないので、誤解のないよう注意してください。
それ以前の婚姻期間分については前述の合意または裁判の決定により最大半分が適用されます。
2008年5月以降に結婚した人は、全婚姻期間の分について半分が
分割されますが、自動的に分割されるのは、第3号被保険者であった期間に限られます。
期待したほどではないにしても、できれば年金分割をするべきです。今までは、育児や介護などの無償の仕事に対する評価が低すぎました。
年金だけでなく、退職金その他にもいえることなんですけど。
日本年金機構 「離婚時の厚生年金の分割制度について」
年金が分割できることを当てにして離婚を考えるのはやめたほうがいいですが、もう離婚が
不可避となってしまっているなら、ぜひ、年金分割の手続きをなさってください。