親権
協議離婚をするとき、離婚届を受理してもらうために、決めておかなければならないこと、それが、
未成年の子の「親権者」です。
親権は、法律的には、「財産管理権」と「身上監護権」の二つからなります。「親権者」でない親が子を引き取って、「監護者」として育てることもできますが、
これはあくまで例外と考えるべきで、やはり、一般的には、「親権者」=「監護者」です。
親権の奪い合いや押し付け合いになって、話し合いで決められないときは、調停・審判になります。
親権者になるには、子の福祉が最優先で、経済力がなくても、
離婚の原因を作った有責配偶者であっても、「子供の成育のために
良い」と判断されれば親権者になれます。
子が幼い場合は、母親が親権者になる場合が多く、15歳以上では、子供の意思が尊重されます。 20歳になれば、親権者を決定する必要はありません。複数の子がいる場合は、それぞれに親権者を決めますが、子が幼い場合は特に、一方に統一するケースの方が多いです。
親権者は、戸籍に記載されます。監護者は、離婚届に記入する欄がなく、戸籍に記載されません。
監護者を別に決めるときは、離婚協議書にその旨を明記しておきましょう。
普通に結婚生活を送っているときには、「親権」を意識することはあまりないと思います。
しかし、離婚すると、子供関連の法律行為を行うときには、「親権」が非常に重要になってきます。
世界的には、先進国では単独親権は珍しいです。
親権者を変更するには
離婚時に決めた親権者を変更するには、父母の協議だけではできず、家庭裁判所に「親権者変更」の調停を申し立てる必要があります。 考慮されるのは、子供の福祉であり、親の都合ではありません。
自分で親権を取り戻したいという意思がなくても、現在の親権者が子供の監護ができない状態になった場合は、児童相談所などから、親権変更の手続きをしてくれと要請されることもあります。
子の氏
父が戸籍筆頭者であれば、たとえ母が旧姓に戻らず婚姻時の姓を使うことにしても、子は、筆頭者の戸籍にそのまま残っていますので、母とは氏が異なります。
離婚後、母と子が一緒に生活する場合など、子の氏を母と同じ氏に
したいときは、家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を申し立てます。
15歳未満の子については、法定代理人、15歳以上の子については、本人が申立てを行います。
「氏の変更」は、なかなか大変なものですが、両親が離婚した場合の「子の氏の変更」は、簡単に許可されます。家庭裁判所から出された審判書をもって、市区町村役場に「入籍届」を出せば、母と子が同一の戸籍に入ります。
子を母の戸籍に入籍しても、父との親子関係が切れるものではありませんから、相続などで不利になる心配はありません。
余談ですが、婚姻届を提出することを「入籍」と表現する人がいますが、「入籍届」とは、結婚するときではなく、上記のような場合に提出するものなので、お間違えのないように。