公正証書

公正証書

 離婚協議書を作成するなら、離婚給付契約公正証書にすることをお勧めします。 公正証書とは、公証役場の公証人が法律に従って作成する公文書です。強い証明力があるだけでなく、 「強制執行認諾約款」が記されていれば、金銭の支払いに関する債権については、裁判をしなくても、強制執行ができる債務名義として認められます。

 以前は、支払いが滞った都度、強制執行の申し立てをしなければならなかったのですが、2004年に民事執行法が改正されて、養育費などの扶養に関する定期的な金銭債権については、将来分についても、差押えができるようになりました。


 離婚協議書を作成しただけでは、私的な契約書です。もちろん、契約ですから、履行の義務があります。ただし、その効力に難癖をつけられることもあり得るし、いざ、支払いが滞った場合などは、その協議書を証拠として、まず裁判を起こして判決を得てからでないと、強制執行ができません。
結果的に お金も時間も労力も精神力も、ずっと負担が大きくなってしまいます。

 公正証書作成には、手数料がかかります。記載されている内容によって金額が異なります。離婚するには何かと予期せぬお金がかかるので、なるべく支出を抑えたいときですが、特に、養育費など、長期にわたる金銭の支払いを伴う場合には、たとえ手数料がかかっても公正証書にするメリットは大きいと思います。


強制執行認諾約款

 双方が合意し、強制執行認諾なしで公正証書を作ったとします。
「これ、ほんとにちゃんと払ってもらえるの?」

 債権者側は、やっぱり不安です。 公正証書には強力な証明力がありますから、たとえば養育費の支払が滞ったら、裁判に持ち込めば強制的に差し押さえるところまでもっていけるでしょう。

 でも、いちいち裁判なんて、一般市民にとっては大変な負担です。そこで、公正証書で強制執行ができるように、「執行認諾約款」を付しておくのです。

 強制執行とは、国の力を借りて、強制的に財産等を差し押さえることです。債務者が「本契約上の金銭債務を履行しないときは直ちに強制執行に服する」と認める文言を 「執行認諾約款」といいます。公正証書に執行認諾約款があれば、金額と期日が明確な金銭債権については、裁判をしなくても強制執行ができます。